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ひたすら静かに?
闇にうずくまる魂の数々にとって、アスカのような能力者は希望の光であるはずだ。悪行の限りを尽くした魂には許されないことだが、ヴァンパイアへの変異にかかわった者達と対となる魂には、行くべき場所へ行ける機会の到来と期待してもおかしくない。というのに、魂の数々は不意に現れたアスカに縋るでもなく、闇に溶け入るように、ただそこにじっとしているままだった。慈悲を求めて闇にのたうち、苦悶の叫びを上げてくれている方がまだ増しに思えるくらいに蕭然として、遣る瀬無い程の静寂に浸り切っている。
「てか……」
仮に行くべき場所へ行けたとして、その魂はどうなるのだろう。まったき闇に落とされたのだ。長い時間、苦しみと向き合わされるのは確かなことだ。となれば、魂の数々がアスカのような能力者を望むはずもない。チヲカテトスルモノ―――ヌシによる解放を、実現し得ない願いだとも知らず、ひたすら静かに待ちわびるようにアスカには思えた。
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