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あぁぁぁぁっ?
お陰でというべきか、アスカには子狼の魂が難なく探し出せた。子狼の魂も闇に溶け入るようにじっとしていたが、深く暗い静けさの中にあっても、魂の数々にはない安らかさを感じさせる。そうするより他に道がないと知るように、それでいて長い長い眠りの中にいるかのようなその様子は、母胎に守られているようにも思わせた。
「いたぜ」
アスカはヌシに意識を向けて声を発した。そして瞬時に、ヌシが青年の魂と子狼の魂とを入れ替えたことに気付く。目に見える形でされた訳ではない。全ては意識内でのことだ。次の瞬間には、子狼の魂がヌシの手中に収められていたということだ。
「じゃ、僕は行くね」
「おう、頼んだぜ」
これで子狼の魂が救われる。アスカはほっとした気分で返していたが、ふと奇妙な感覚に襲われ、考え込んだ。何かがおかしい。何かが―――と思った瞬間、叫んでいた。
「あ……あぁぁぁぁっ」
アスカはヌシにわざと置いてけぼりにされたのを知った。
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