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悪戯してやれと?
闇にうずくまる魂の数々に動きはない。そこに浮かぶアスカの意識は異質のはずだが、興味を見せないでいる。ヌシの気配が消えたからかもしれないが、うずくまる魂の数々はじっとして、繋ぎ止められているかのように闇に溶け入っている。そういった魂の数々には、元からアスカの意識が感じ取れていないのだと、今更ながらアスカにもわかって来た。
「で……」
ヌシに置いて行かれたのだと、アスカには思えた。一時的には高みの見物と決め込んでも、自然界の精霊がアスカを見捨てることはない。懇切丁寧に、事細かく指導してくれないだけのことなのだ。特別な能力者として生まれ落ちたとはいえ、アスカがどう生きるのかはアスカの選択にある。まったき闇から抜け出す方法もまた、アスカに任せようということだ。しかし、本音ではあたふたするアスカを眺めて楽しんでいる。そこを理解するヌシにすれば、悪戯してやれと言われたようなものであり、機会を逃す訳もない。
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