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アルファの為に?
「な……っ」
次の瞬間、ぱっとアスカの視界に色彩が溢れた。そのせいなのか、アスカは現実世界に戻ったと認識しつつも意識が追い付かず、ふらついてしまった。不覚にもそれを男に抱き留められた。当然ながらむかついて、すぐに男の腹に拳を食らわせてやったが、相手はヴァンパイアだ。見事、アスカの方が痛みに声を詰まらせることになる。
「ク……ソっ」
「君には……」
男は一拍置いたあとに、さらりと続けた。
「学ぶという概念がないのか?」
「うるせっ」
アスカにも喧嘩上等で生きて来た矜持がある。わざとらしく間を空けて問われたのが悔しくて、苛立たしげに返しはしたが、男に幾ら馬鹿にされようが知りたい答えがある。となれば、このまま強気で行くしかない。
「で、なんであんたが?」
アスカは同じ問い掛けを繰り返し、その上でさらなる疑問を投げ掛けた。
「俺はなんも命じてねぇぞ、なのに、なんで戻れた?」
「何もかも、アルファの為にというより他なし」
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