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君の意識が?
男にとって、アルファはお荷物でしかなかったようだ。腕を掴んで離そうとしないアルファを引きずって闇の領域に入ったものの、普段なら難なく抜け出られるはずが中々抜けられず、それでも叫び散らかすアルファを宥めすかして、どうにかこうにか別荘の裏庭に辿り着けた。それなのに、そこには闇の領域が境目なく延々と広がっていたというのだから―――。
「その意味するところは……」
闇を怖がるアルファを面白がってのように思えても、それだけでないのは自然界の精霊に愛される男には嫌でもわかることだった。
「時間の停止」
男の重たげな口調からして、アルファを引きずって無駄に闇に囚われていたあいだに何があったのか、大方の予想を付けているのが知れる。しかし、その考えにヌシは入っていない。アスカ一人で始めたと思っている。それが男には許せないのだ。やや厳しげな口調に変えて、話を継いでいた。
「即ち、君の意識がまったき闇にあるということぞ」
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