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どっと疲れて?
「ク……ソっ」
アスカにもわかっていた。この瞬間が男と女には必要であり、大切ということがだ。それでも悲恋じみた別れの言葉が疎ましくてならなかった。自分を通していちゃつかれたようにも響き、気分が悪くなる。全てが背後に立つ男のせいだが、そう思ってみると、ここは怒鳴り付けてやるのが本筋という気もする。
「ふんっ」
アスカは鼻息荒く、後ろ手に振ったままに固まる手を引き下ろし、当然そこにいるはずの男を目掛けて、睨み付けんばかりに振り返った。その間、ほんの数秒のことだ。ヴァンパイアが有する瞬間移動に劣りはするが、可能な限りに素早く動いた。というのに、そこに男の姿はなかった。
「あの……野郎っ」
逃げやがったと、アスカは一人孤独に呟くことしか出来なかった。怒鳴り付けるにも相手がいないのだ。発散されない苛立ちが内にこもり、体を熱くする。それもあってだろう。どっと疲れて、尻からソファにどさりと倒れ込んでしまっていた。
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