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口ごもった理由?

「クソがっ」  ドアの向こうにいる母親を思っての悪態であるせいか、アスカの口調に毒気はなく、むしろ甘ったるい響きになっていた。それでも耳聡いヴァンパイアには聞かせられたのだから、アスカには本望と言えていた。母親が男を大歓迎したのは、男の楽しげな様子で知れることだ。何とも腹立たしくてならないが、母親との遣り取りを全て語らせるまでは耐えるより他ない。 「挨拶ってさ」  母親を丸め込んで窮地を脱する。男の悠々とした語り口も、そうしたアスカの策略を察してのことに思えた。それでアスカはむすっとしながらも、情報集めにと、しれっと問い掛けた。 「どんな風によ?」 「有り体にな、別荘の管理者と申し上げたぞ、フジには格上となる身、何事もお申し付け下されば即座に向かわせるとな、母君は喜んでおられたが、君にお怒りのようでもあられた故……」  男が口ごもった理由が別荘の前庭にあると、アスカが気付くのに、さして時間は掛からなかった。

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