1045 / 1054

頼まれよう?

「俺は……」  晴れやかに喋り続けるアスカを気にしてなのか、明るく楽しげだった男の顔付きにも慎重さが浮かんだ。お得意の完璧な無表情とは比ぶべくもないが、麗しい容貌を雅やかにした微笑みを消したままに、僅かとはいえ口元をきゅっと強く引き締めている。当然、警戒するような眼差しに変化はない。それでも銀白色を帯びた錫色の瞳に見せた輝きからして、内心ではアスカとの遣り取りを楽しんでいるようにも映る。それでアスカは少しばかり強気で行くことにした。 「あんたの……っうか、アルファと……ってこったけど、頼みを聞いてやったじゃね?その代わりにってんでさ、あんたの都合もあんだろうが、今夜中にさ、直しをよ、頼まれてくれねぇかな?」  男はすぐには答えなかった。否定もしないのだから、何かしらの条件を考えていそうな気がする。そうしたアスカの読み通りに、男はこう返して来た。 「私と始めた事業を優先するのであれば、うむ、頼まれよう」

ともだちにシェアしよう!