1053 / 1054
信じんだよ?
「我が子孫……」
男に子孫と言わせるその存在が、謀叛を起こした家臣を前世とする青年を意味しないのが、アスカにはわかっている。この世では、子狼の魂を持つ青年のみが生者として許されている。
「あやつ……」
男にしても今更といったところなのだろう。わざわざアスカの理解を確かめるといった素振りもなく、さらりと続けていた。
「霊媒として正式に、人間外種への登録変更を申請した、アルファが直々にこれを受理し、我が子孫を名乗る一族どもにも、『人間外種対策警備』で引き受けた旨、役所への届け出と共に通知したとのこと、昨夜、子狼を連れ帰ったのち、早急に処理したそうな、今朝早くに、フジを通して伝えて来よったわ、騒動の元である黄金についても、我が子孫の言葉として、妄想の類い、先祖の戯れ言であったと、一筆添えさせたということぞ」
「はぁ?」
耳のすぐ後ろに、男の冷えた体温を感じつつ、アスカは返した。
「そんなん、誰が信じんだよ?」
ともだちにシェアしよう!

