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第4話

暗闇の中で目が覚めた。 自分が空中に浮かんでるような気がするのは気のせいだろうか。 まだすごく眠い――ぼんやりしたまま目をしばたたいていると、ふいに体がかしいだ。 空中に浮いていると感じたのは気のせいではなかったらしい。何本もの細くて柔らかい――蜘蛛の糸の様なものに絡めとられている。体が揺れたのはその糸を伝って、何かがこっちに移動して来るかららしい。そちらを見ようとするが首が動かない。手足も同様だった。縛られてる?はっとなって意識がはっきりし、必死で唯一自由の効く目だけを動かすと、視界のすみに真っ白な女の顔が浮かんでいる。口の端が不自然に吊りあがり、まるで裂けている様に見えた。 顔はするするとこちらに近付いてくる――女の顔に繋がった体は、蜘蛛のそれだった。 毛に覆われた8本の足が音を立てずに蠢き、何本も張られた細い糸を伝って近付いてくる。 その全身が目に入ったとき、恐怖を覚えて悲鳴を上げようとしたが、口も体と同様に幾重にも巻かれた細い糸が巻き付き、塞がれていてできなかった。 すぐそばに来た顔が言う。 「目を覚ましてしまったのだね。痺れ毒が足りなかったようだ。あたしとした事がヒトを眠らせるのは久しぶりなので感覚が鈍ってしまったよ。さあ、これなら足りるだろう。もう一度お眠り…」 そういわれた後体が痺れだし――ひどい眠気が襲ってきた。耐えられず、閉じかけた目に、蜘蛛の体を持つ女の口から、糸がするすると吐き出されるのが見えた。その糸でさらに体を幾重にも巻いているらしい。 やがて糸が顔の部分も覆いだし、視界が白くふさがれた。それと同時に眠気に負けて、瞼を閉じた――

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