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第7話(クリス)
武器商人ジョンソン•ミラーの倉庫は、ニューヨーク港からほど近いイースト川の下流にあった。
コンクリートで出来た一見普通の大型倉庫が3棟並んでいる。
そのうちの1棟の西側最奥にある部屋が例の変なモンが見つかった部屋らしい。
僕は現場にはあまり出ない主義だから、久しぶりだ。
マイヤーズに続いて倉庫に入る。
先発の小隊4名は中で待ち構えていた。
「マイヤーズ隊長、グラスゴー博士、先に奥の部屋へお願いします」
部屋の中へ入るとベッドにはミイラ化した女性が一体。
その隣にはベッドが一台。
ベッドは人間の手足を拘束出来るようなベルト付きだ。
そしてベッドの脇には三体の遺体が無残にも投げ出されている。
「まずは、ミイラ化した遺体を見させて」
僕はミイラに繋がっている装置を確認する。
「このミイラには人工呼吸に人口栄養法で胃ろうと点滴をしているみたいだ。
それから人工透析も。腎臓の病気があるのかも。尿毒症になるのを防ぐために外科的に血液中の老廃物除去・電解質維持・水分量維持をして管理しているみたいだ」
「要はありとあらゆる延命措置を施して生かしていたのか?」
「そうだね。僕はこの装置は見た事が無いけど、、、WIAの僕のラボで分析して解体してみるしかないかな。ミイラは医療班のドクター•クラークへ」
「分かった。装置を運び出すぞ!準備しろ!」
「床に放置されている遺体も医療班へ、、、あ!ちょっと確認するから待って」
可哀想に。若い未来のある女の子達だ。
それに気になる傷口が見える。
手袋をすると口元を確認する。
「おい、グラスゴー博士?何してんだ?」
マイヤーズが顔を顰める。
そりゃ仕方ない。僕は遺体の上唇を持ち上げ、鼻までめくり上げているんだから。
「これは、、、酷すぎる」
遺体の歯茎は大きく切開されていた。
だから上唇がこんなにめくれるんだ。
「遺体を検死しないといけないけど、もしかしたら彼女達は全員、下垂体を摘出されているかもしれない」
「下垂体?何だそれ?」
「成長ホルモンは全て脳の下垂体がつかさどっている。もしかしたら、急激にミイラ化した遺体の老化を止める為に彼女達の下垂体を使ったのかも」
「老化を止める為に3人も殺したのか?」
「いや、老化の進行速度から見て被害者はもっといるはずだよ。それに、下垂体は恐らく生きたまま取り出されている」
説明するのも辛い。
「彼女達は手足を拘束された上に筋弛緩剤を打たれたみたいだ。
筋弛緩剤で動けなくしておいて意識があるまま歯茎に沿って切開し上唇を目の部分までめくる。そして鼻腔を突き刺し脳の一部を抜かれて死亡したんだ」
「何でそんな事が分かる?」
「そこの医薬品棚には塩化スキサメトニウムが大量にある。筋弛緩剤だよ」
酷すぎる!
怒りに手が震える。
彼女達はきっと誰かの友人だったり、恋人だったり、大切な娘だったりするはずだ。
人間のやる事じゃない!!
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