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第10話(ライリー)

「ありがとう。大丈夫だよ。少し頭を冷やしてくるよ」  誠実なスティーブ。だから好きになった。僕の浅はかな精一杯の誘いにも乗らない。 彼を引き留める言葉はもう持って無い。 「あの、、、」 諦め悪いな僕も。 「?」 「いえ、何でも無いです」 「ありがとう、ライリー。また月曜日」 「はい」 初めて名前呼ばれた。 こんな時でも嬉しいなんて。バカだな僕。往生際が悪過ぎ。 スティーブが見えなくなったのを確認したら涙が溢れてしまった。 「本当、最悪」

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