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第11話(クリス)
ダメだ、本当に立ち上がれないし。
手が震えてきた。
銃撃や爆発音に冷や汗が止まらない。
フラッシュバックだ。
僕が6歳の頃、両親が殺された。
WIAの研究者だった2人は、機密情報を扱っていたらしい。幼い僕は何も知らなかった。
押し入った犯人は4人。
最初はドアを爆発され凄い音がしたのを覚えてる。
眠っていた僕は飛び起きると両親の寝室へ向かった。
薄暗い間接照明に眼を凝らす。
「パパ、ママ、何の音?」
「クリス、来ちゃダメよ、あなたは逃げて!」
母が取り乱した様子で叫ぶ。
「ダメだ、もう家の中に侵入された!クリス、ここへ隠れるんだ!絶対に声を出すんじゃ無いぞ!助けが来るまで隠れているんだ!」
父は僕をクローゼットの中にある衣装ケースに押し込んだ。
それからは地獄だった。
しばらく銃撃戦の後、犯人達はとうとう寝室へ乗り込んだ。
両親の断末魔の悲鳴を聞きながら僕はずっと衣装ケースの中で震えていた。
両親は顔が判別出来ないほど、殴られていた。
全身に銃で穴が開くほど何発も撃たれていた。
僕の6歳の誕生日に見た悪夢だ。
そして僕の悪夢はコレだけじゃ終わらなかった。
もしかしたら、本当の悪夢はそこからだったかもしれない。
「グラスゴー博士!おい、しっかりしろ!」
マイヤーズが戻って来た。
「今からお前を担いで東の非常口から外へ離脱する」
「え?担ぐ?」
「仕方ねぇだろ、装置かお前かしか守れないならお前だ。その脳みそはWIAの中でも最重要クラスだからな」
そう言うとマイヤーズは僕を軽々持ち上げ肩に担いだ。
「うわぁ」
「暴れんなよ」
だめ、もう、ちょっと吐きそ、、、あ。
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