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第15話(クリス)

「あ、ホップス!」 僕はシャワーを浴びて着替えを済ますと看護師のポップスを見つけた。 彼女はライリーとかなり親しい。 「どうしました?」 「あ、、、あのさ、さっきラ、スイーツ博士の様子がおかしかったけど何があ、、、え?」 僕はホップスが抱えている装置に気付いた。 「ねぇソレ、僕が作った脳の海馬を読み込むHIP解析装置だよね?」 「ええ、そうですがどうしました?」 「どうしましたじゃ無いよ。ソレ!脳に負担がかかり過ぎるから使用は却下されてるはずだ!僕はワシントン本部の危険物倉庫に入れたはずだよ?」 「そうなんですか?!」 「誰に使うつもり?」 「モニカ•アスナールです」 「誰なの?」 「ここで預かっている、女の子です。リカルド•アスナール博士の娘さんです」 「信じられない!コレを子供に?!モニカはどこ?」 「1番奥です。101号室」 僕は急いで向かう。ドアの前でカードキーをスキャンさせて開ける。   中には5〜6歳のラテン系の女の子が無機質な部屋のベッドに座っていた。 「グラスゴー博士、勝手に入らないでください!」 ポップスが慌てて追いかけて来た。 「やあ、モニカ。僕はクリス」 モニカからは反応が無い。ボォっと壁を見つめている。 「彼女、失語症を発症しています。会話は無理です」 「ホップス、君は下がってて」 まだ小さな女の子だ。いつからここに居るのかな? 「モニカ。喋らなくても良いよ。何か辛い事があったんだろ?大丈夫だ。僕も長いこと声が出せなかった事がある。 ゆっくりで良いんだ。僕が力になるからもう大丈夫」 モニカとやっと目の焦点があった。 「無理に喋らなくても大丈夫。僕ここに居てもいい?」 モニカは僕をじっと見た後、ゆっくり頷いた。 「ホップス、その装置の使用は禁止だ。彼女は失語症じゃない。HIP解析装置を使用しなければ脳機能は問題無いからね。 モニカはストレスや神経障害の影響で声帯などがうまく動かせずに声が出せない「失声症」だよ」 「すみません。グラスゴー博士。でも私のボスのクラーク博士が、、、」 ドクター•クラーク博士はニューヨーク支部医療班の班長。僕とは階級が同じだ。 「クラーク博士には僕から直接話す」 ドクタークラークならすぐに失語症と失声症の違いぐらい簡単に分かるはず。 それになぜ危険物倉庫にあったHIP解析装置を知ってたんだ? ワシントン本部からの持ち出しも僕は禁止していた筈だ。 何かがおかしい。

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