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第16話(ライリー)

数分でマイヤーズは入り口へ戻って来た。 「中はクリア。荒らされてるが誰も居ない」 手に力が入らない。 恐怖で身体が竦む。 家の中を確認したいのに、入るのが怖い。 アイツに見つかったかもしれない。 「大丈夫か?」 マイヤーズがギュッと抱きしめた。 「ごめんなさい」 「何で謝るんだ?」 「あなたを巻き込んでしまったかも」 「どういう意味だ?」 「、、、中に、家の中にバラの花あった?」 「??バラ?確かにキッチンに」 「どうして、、、どうしよう、、、見つかった」 「おい、どうしたんだ?!様子がおかしいぞ?!」 アイツだ。ニック•カーター。 ニックと僕が知り合ったのはBrooklyn School of Inquiryのギフテッドクラス。 両親が医師で、2人は教育熱心だった。僕自身のIQも人より少し高かった僕は、両親の英才教育もあり4歳の時にテストをパスしてギフテッドクラスに入学した。 ギフテッドクラスとはIQ130以上の高い知能を持つ子供達のクラスだ。 そして僕は13歳の時、ニックとギフテッドで知り合った。 彼のIQは178。クラスの中でも高い知能を持つ彼は特に浮いていた。彼が何かに夢中になると誰も止められないのだ。教師も手を付けられない。集中が始まるとノートや黒板に突然何かを書き始めて周りに人が居る事も時間も忘れてしまう。 ニックは夢中になったモノにのめり込みやすいタイプだった。 そして、彼が僕に夢中になったのは17歳の時。 僕はニューヨーク大学へ進み、大学院から医学部へ行く予定だった。 ロボット工学を専攻していたニックはマサチューセッツ工科大学、プリンストン大学、ケンブリッジ大学、カリフォルニア工科大学、どこだって行けただろう。 でも彼は僕と同じニューヨーク大学へ進んだ。 彼の狂気に気づいたのはその時からだ。 行く先々へ現れるのは日常茶飯事。 大学の寮、食堂、アルバイト先、クラブやバーどこにでも現れた。 ニックは僕に話しかけて来ない代わりに、ずっとこっちを見つめていた。 きみが悪かったけど、危害を加えられない事でニックの存在を無視し続けるのに慣れた頃事件が起きた。 ガールフレンドやボーイフレンドは常に居たけど、1番長く付き合っていた当時のガールフレンドだったアイリスが失踪したんだ。  ある日突然。 そして僕の部屋には紅いバラが一輪届けられた。 僕は直感でニックだと確信した。 警察の大掛かりな捜査も虚しくアイリスは今も消えたまま。 僕は怖くなり警察やFBIにニックの事を話したけど証拠不十分で起訴もされなかった。 次にまた恋人が出来たら殺されるかもしれない。もしかしたら次ニックに殺されるのは自分かもしれない。 怯えていた僕の所にWIAのエージェント•ハワードが現れた。 WIAにスカウトされたんだ。大学院を出て医師免許を取得したら、医療班で働かないかというオファーだった。 僕はすぐにそのオファーに飛びついた。 WIAに入ればファミリーケアを受けられると知ったからだ。 僕や親しい人間に護衛を付けられる。 僕は何とかニックにストーキングされながらもWIAの護衛に守られて大学院を卒業。 そのままニックの前から消えた。 あれからもう5年経過している。 どうして今更、居場所がバレたの?!

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