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第18話(ライリー)

「犯人に心当があるのか?」 マイヤーズやWIAのエージェントと家の中に入る。 「ニック•カーター。大学時代のストーカー」 「確証は?」 「この紅いバラ」 キッチンに置かれた一輪のバラを指先す。 「僕は置いてない。前に恋人のアイリスが失踪した時も僕に紅いバラが届いたんだ」 「周りに失踪者は?」 「いない。今は恋人も居ないし。でもマイヤーズ隊長がこの家に来たのをどこかで見られてたら狙われてしまうかも」 「だからさっきのごめんなさいか」 「巻き込みたく無いから、しばらく僕に近づかないで」 「俺は一応レベル5のエージェントで兵士だ。自分の身は自分で守れる。ついでにお前も」 どうしよう。 「しばらく俺のウチに来るか?」 どうしよう。 流されちゃダメだと分かってる。 ピピピピ 通信機が鳴った。グラスゴー博士からだ。 「スイーツ博士、大丈夫?」 「すみません、ご迷惑をお掛けしてしまい」 「迷惑なんかじゃかいよ。君が無事なら良かった。部屋が荒らされてるって聞いたからニューヨーク支部に臨時の部屋を準備したから使って」 「ありがとうございます」 「当面の荷物を準備したら、一度ニューヨーク支部へ戻るといい。夜勤明けに疲れてるだろうけど」 「いえ、大丈夫です。戻ります」 通信機を切る。 「荷物を取ったらニューヨーク支部へ戻るよ。グラスゴー博士が部屋を用意してくれた」 マイヤーズは明白にご機嫌が斜めになった。 「そんなに拗ねないでよ。ありがとう。気持ちだけ受け取っておくよ」 「じゃあ、ニューヨーク支部へ送る」 「ありがとう」 マイヤーズとは何故か急接近してしまった。 僕はまだスティーブが好きだし、そんな気になれないんだけどな。

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