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第22話(ライリー)

「疲れた」 無機質な部屋。硬い簡易ベッド。 職場で僕までオフィスキャンプする羽目になるなんて。   ベッドに横になって考える。 本当にニックの仕業なのかな? 今は恋人もいないし、親しい人達にはファミリーケアを付けている。 今の所、僕の大切な人達に失踪者はいない。 それにニック程の天才が僕なんかの研究資料に興味を示すかな? 僕の専門は皮膚移植の合併症として起こり得る血腫(血がたまること)、漿液腫(リンパ液がたまること)、感染(化膿すること)、縫合部分の離開(キズが開くこと)、移植組織の壊死(部分的、全部)など様々な後遺症に人工皮膚再生医療が有効かを研究している。 最初はバラの花を見て焦ったけど、冷静によく考えたら本当にニックの仕業なのか疑わしい。 彼とは専門も違う。僕の研究になんて興味無さそうだ。 だったら誰が真犯人? 色々考えてたら、眠れなくなってきた。 WIAに戻ってからは緊急ファミリーケアの依頼をしたり、事情聴取や報告で時刻はすっかり夜。 星あかりが無い部屋で眠るのはやっぱり閉塞感があるな。 「外の空気、吸いたい」

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