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第32話(ライリー)

久々に見たニックは昔とは全然違っていた。 白のスリーピースのスーツに、髪は短く、昔のようなダサい眼鏡も無い。 僕をお姫様抱っこの要領で担ぐ。 「迎えに来たよ」   見た目が変わっていても、この異常な目だけは変わって無かった。 筋弛緩剤で力が入らないし上手く喋れない。 「愛してるよライリー」 僕はゾクりと寒気がした。次は僕かもしれないとずっと思っていた。ニックに殺されるのは僕かもしれないと。 「あなたの望みはスイーツ博士を手に入れる事でしょ。次は私の娘のアイリーンを助ける条件よ」 え?まさか、、、ホップスとニックは共犯? 「装置は?」 「カバンの中よ」 「渡せ」 「嫌よ。渡したら私を殺すつもりなんでしょ?」 「お前が余計な事をしたからな。ライリーの家にバラを置いて来ただろ」 「あ、あ、あれはWIAの捜査を撹乱するためよ」 「本当か?ライリーに俺の存在を気づかせるためのメッセージじゃないのか?」 「そんな事より移動しましょ。WIAが追ってくる」 「ああ、だが君はここまでだ」 バァンバァン!! 「ゔぐっ」 ホップスが倒れる。腹に2発。1発は貫通。出血が多い。急がないと手遅れになる。 助けたいのに。 身体は全然言うことを聞かない。 「アイリーンを、、、アイリー、、たす、、、け」 ホップスは気を失う。 僕がすぐ処置したら助かるのに! 手も足も力が入らないよ! 「ニック、、、離して!ホップスを医務室へ、、、連れて行かないと、、、」 「装置だけ手に入れば用無しだ。コイツは置いていく」 「そ、そんな、、、」 娘のアイリーンの為にここまでやったのに。 「WIAの敷地内に長居は出来ない」 ポップスのカバンを奪うと僕を担いだままニックは歩き出した。 このままじゃ本当に殺される!!

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