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第34話(ライリー)

視界がグルグル。グルグル。意識はあるのに全身の感覚が鈍くなってる。 塩化スキサメトニウム。 僕を愛してるなら簡単に打つなよ。血中カリウムの増加作用で心停止を起こしたらどうすんだよ。 、、、何で今更、こんな事になったんだろう。 何年も、何年も、ニックに見つからないよう慎重に生活してた。 気が緩んでたのかな? このままニックに連れ去られたらどうなるんだろう。 怖い。何をされるのかわからない。 身体の自由も効かないまま殺されるの? それとも、、、 誰か助けて、、、 『君の事、僕が、、、その、、、守るから』 グラスゴー博士。 何故だか僕の頭に一番に浮かんだ。 このまま死にたく無い。まだ生きたい。 「ライリー、僕たちの家に行こう」 ニックにSUVの後部座席に乗せられた。僕たちの家?? どこへ連れて行かれるの? 怖い。 怖い。 だけど 死にたく無い。 死にたく無い!! 何か、何か考えなきゃ。 頭を、、、頭を使うんだ! 通信機は、、、今持って無い。 スマホは? 確か服のポケットに? 気付かれないようになんとか手首を曲げてみるとスマホに指が触れた。 そっと身体を捻りポケットまで何とか手を伸ばせた。 でも画面が見えなくてパスコード押せない。 緊急電話!! 確かサイドのボタンを何回か押し続けていれば911に繋がるはず。 指を押し付けるように何とかボタンを押すとスマホが振動して911に繋がった気配がした。 WIAでも携帯の位置情報から探してくれるかもしれない。 ニックはポップスから奪ったカバンを助手席に置くと戻って来た。 僕の身体を触るとポケットにあるスマホに気付く。 「君の頭が良いのは知ってるよ。君の好きな所だ」 せっかく911に繋がったスマホはニックに奪われ、その場で地面に叩きつけられた。 「もうスマホは必要無い」

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