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第40話(ライリー)

全裸のまま簡易ベッドで様子を伺う。 警報が鳴ってからモニターが全て外の監視カメラ映像に切り替わった。 「あれは、、、WIAのEチーム?」 位置情報を辿って来てくれたんだ!! 助かるかもしれない!! Eチームが戦っているのはニックじゃなくアンドロイド? ニックの専門はロボット工学。セキュリティ用に作ったものかな? ニックはラボから出て行った。 逃げ出すなら今がチャンス。 身体はまだ重いけど手足は少し動く。 塩化スキサメトニウムに解毒剤は無いけど効果はそう長く続かない。 「服を着ないと」 ベッドから降りようとしてガタんと音を立てながら盛大に落ちた。近くにあったデスクの上の書類やら実験器具まで巻き込んで。 「いたたた」 右側頭部打撲だな。 ゆっくり、慎重に身体を起こす。 脱がされた服をゆっくり着ていると激しい爆破音がした。 電気系統がスパークし照明やモニター、実験機材の電気が一斉に落ちる。 「どうしよう、、、状況が分からない」 赤い非常ランプを頼りに手探りで立ち上がろうとした時、指先が何かの薬品が触れた。 指先に痛みが走る。 薬品瓶を確認する。 「CCl4?テトラクロロメタン?早く流水で洗い流さないと、、、」 「でもこのマーク何だろ?」 薬品瓶にはテトラクロロメタンの分子式だけじゃなく見た事の無い元素記号のようなものが書かれている。 「とにかく今はここから出ないと」 服も下着とシャツしか着て無い。 それに、何だか急に焦げ臭いし煙たい。何か燃えてる?! 「うそ、、、火事?」 ラボに閉じ込められたまま火事になれば一酸化炭素中毒で死ぬ。 それにラボに入った時に液化窒素やエチルアルコールがあるのを見た。 引火すれば大爆発を起こす。 「今すぐ脱出しないと」 冷や汗が背中を流れる。 ラボの出入り口はすぐそばに見えてるのに。 身体がうまく動かない。 このままじゃ死ぬ!! 焦る気持ちとは裏腹に、身体は震え始めた。 怖い。 ダメかも。 もう。ダメかも。 最後は痛みが無く逝けたらいいな。 アイリス。 ごめんね。 君はまだこの世に繋がれているのに。 君より先に僕の方が、、、 意識レベル低下してるな僕。 ガタッ 「ライリー!!!!」

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