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第43話(クリス)
「容体は?」
ライリーの部屋のベッドで点滴を交換しているとマイヤーズ隊長が入って来た。
「一先ず安定してるよ」
「そうか。お前の腕は大丈夫か?」
「うん大丈夫。痛み止めを打ったから」
「付き添い変わるから、お前も少し休んでこい」
「大丈夫だよ僕は」
「いいから。意識が戻ったらすぐ呼ぶ。どうせ部屋は隣だろ。少しでも良いから休め」
容体が安定したからライリーは医務室から僕の隣の部屋に移した。
僕はライリーがいつ目覚めても良いようにずっと付き添ってる。
「お前が倒れたら困るから」
マイヤーズ隊長、怖い顔してるのに優しいんだ。
「分かった。ありがとう」
結局、洋館からライリーを救い出して丸2日。
ライリーの意識はまだ戻らない。
地下にあったラボにはMCUテクノロジー関連の実験機材や薬品が多数あったけれど、あのラボの持ち主は逃走。
ライリーを誘拐した犯人は未だ不明だ。
監視カメラやドローンを駆使して捜索しているけど、犯人は特殊なノイズで妨害電波を出した様で姿を捉えたカメラは無い。
僕に言える事は、犯人がかなり進んだ科学技術を持った天才だという事。
そして何故かライリーに執着している事。
もしかして、一連の事件の裏には本物のニック•カーターが居るのかも?
確かニックはロボット工学が専門だ。
あの液体金属のアンドロイドも、彼が作ったのか?
WIAのデータベースを駆使してニックの近況を探ったけど、ここ数年、ニックの記録は白紙だ。
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