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エピローグ

「ライリー•スイーツ博士を誘拐した犯人はニック•カーターでした。分析官の総力を集めて追跡していましたが特殊な妨害電波のせいで未だに消息が掴めません」 ガルシアがモニターに資料を表示しながら説明する。 「ニック•カーターはIQ178の天才で秩序型の殺人犯です。専門はロボット工学ですが、興味を持った分野には幅広く手をだしているようです。 ニューヨーク大学に数年間在籍後はカリフォルニア工科大学に入りロボット工学の博士号を取得しています。 卒業後1年はICTテクノロジーという会社に勤めて居ましたがその後の資料は一切ありません。 スイーツ博士からの情報によると、武器商人のジョンソン•ミラーの倉庫でミイラ化した遺体に繋がれていた装置は【ブレインシェイク】という物で製作者はニック•カーターでした。 脳と脳をダイレクトに接続し一つの仮想現実を共有する装置だという事が分かりました。 装置本体は例の洋館でラボごと焼失しています。残骸は回収しグラスゴー博士が復元を試みていますが厳しい状況ですね。  また、WIA内でHIP解析装置やブレインシェイク、スイーツ博士の家から研究資料などを持ち出していたのは看護師のホップスでした。 ニック•カーターと繋がっていた事も判明しています。ホップスは持ち出した装置や資料の見返りに早老症の娘の治療をニックに依頼していたようです」 ガルシアは一連の事件を説明し終えると部屋に居る面々に頭を下げてからそそくさと退出した。 話を引き継いだのはWIAの現場のトップであるスミス長官だ。 「ホップスはニック•カーターに。 ニック•カーターは武器商人ジョンソン•ミラーに繋がり、、、 ジョンソン•ミラーはナディール議員と繋がる。 更にナディール議員はMCUテクノロジー、そしてカサドールに繋がる。 何十年も追っているカサドールの尻尾の先を掴めそうなんです。 どうか力を貸して下さい。 シェーン•スペンサー大統領」 40代の若きアメリカ合衆国、最年少大統領は沈黙した。 会議室の椅子に座り、足を組んだままだ。 ハワード支部長はシェーン•スペンサー大統領の前に立つ。 「スペンサー大統領、いやシェーン。君にしか頼めない事なんだ」 「エージェント•ハワード、、、あなたの頼みなら聞きたい。しかし、WIAの立場は中立。どの国にも属さない組織。アメリカ政府の直接的な関与は危険じゃ無いか?」 ハワード支部長とこの若き大統領は30年程前に、あるネオヒューマンズの事件で知り合っている。 「分かってます。でもシェーン、君にしか出来ないんだ。 カサドールの尻尾を掴むためにナディール議員の父ラジープ•クマル•ナディールを引き摺り出したい」 世界を巻き込み、事態は確実に動き出した。

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