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第6話
土曜日の10時とちょっと前。
寮の一階に儲けてられている小さなロビー。エレベーターの前のため、気付くだろうと思い、そこで座って待っていると、予想通り結城は駆け寄ってきた。
「おはよう!」
「おはよう。」
結城は黒のバケットハットとウエストバック、黒のスラックスと厚底ローファー。紺色のブルゾンに紫のシャツはスラックスにインしている。ピアスは今日のコーデに合わせてリング系に。紫のシャツは良いアクセントになっていた。
なんというか、結城しかできないコーデだ。俺はこんな派手なコーデは似合わない。
結城の私服姿を舐めるように見ていたら両肩をガシッと掴まれた。あまりにもジロジロ見すぎたかと思った。
「まって。カッコいい。」
結城は俺の顔に向かってキラキラとした目でそういった。
「髪のことか?」
今日は平日の朝よりも時間があったため、髪をワックスでセットしてきた。だが結城は反応がないため、髪ではないらしい。
「服のとか?」
服装は白のスウェットにベージュのスラックス、青のニットベストだ。ちゃんとした服装をしているが別にそこまでだ。だが結城からは反応がない。
「じゃあ、顔か?」
顔は、朝に洗顔をしたくらいだ。
「ぜんぶ。」
「ぜんぶかっこいい!髪をセットしているのも初めて見たし、それで顔がいつもより見えているし、髪色とベストの色があっていていい!」
肩を掴んだまま、顔をぐんと近づけてくる。
「ありがとう。」
いつまでも掴んでいそうな結城の手をどかしたちあがる。
「結城の方がかっこいいよ。」
結城を見つめていうと、だんだん顔が赤くなっていった。ハットの唾を引っ張って顔を隠した。
「ありがと。」
どうやら褒められるのには慣れていないらしい。
「かわいい。」
帽子の中の結城がさらに赤くなったような気がした。
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