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第9話
パンケーキを食べたあと、近くのショッピングモールでぶらぶらと歩き回っていた。
「もうそろそろ帰るか」と俺が言い、駅に向かうことにした。
「あれっ?結城じゃーん。」
結城が振り返っているのをみて、俺も振り返る。
結城に向かって手を振っている女の人がいた。茶髪のロングにミニスカで、ギャルっぽい子だった。その女の人の後ろにはいかつめの男が3人いた。
「みかさん!」
どうやら結城の知り合いらしい。
「久しぶりー!最近会う回数減ったから寂しいー!」
みかさんは、結城の腕を取り、胸に押し付けている。
「ごめんね。今も帰るところなんだ。」
「じゃあ、また今度遊ぼうね!ところで、隣はお友達?」
みかさんの視線がこちらに向けられ、会釈をする。
「こんにちは。」
「かわいいね!今度この子も連れてきてよ!」
「だーめ、俺みたいに不良な子じゃないの!」
「えー残念。」
親指を口に当てながら、再度みかさんはこちらに視線を向ける。次は舐めるような視線で。
「じゃーね。また今度。」
結城はみかさんに手を振った後、俺の腕を取って歩き出した。
「ごめんね。巻き込んで。」
「全然。知り合い?」
「うん。よく遊んでいるおねーさん。」
結城の外出理由を聞いた時のおねーさんだろうか、それとも他にまだおねーさんがいるのだろうか。聞こうとしたが詮索していいのかが分からずやめた。
「後ろにいた男の人たちは?」
「知らない人。」
ふと、視線を感じて振り返る。さっきの男の3人のうちの1人がこちらを見ているような気がした。何か嫌な予感がした。
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