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第24話
「けーいた!」
あれから結城は、無断外出することをやめた。というか外出することがなくなった。
相変わらず、風紀室に入り浸っている。でも、風紀委員に結城を煙たがる奴は誰もいない。むしろいないと、寂しがっていたりもする。
「なに?仕事中。」
「うん、知ってる〜。」
仕事を邪魔してくることは増えたと思う。今やっている仕事の量や、重要かどうかを見極めて、俺に余裕がありそうだったら構わずベタベタしてくる。俺の要領の良さもあるのだろう。
こうして結城が抱きついたり、肩を寄せたりとくっついてくるため、俺の仕事場はソファに移動された。
「おい、触るのやめろ。」
二の腕の肉をムニムニと触ったり引っ張ったり、揉んだりしている結城に文句を言う。
「だって気持ちいいんだもん。」
「こしょばゆい」
「そー?」
ムニムニムニムニ。結城は手を止めない。
「他の奴の二の腕触れば?」
「圭太を触りたいの!」
「他の二の腕のほうが気持ちいいと思うぞ。」
「そういう意味じゃなくて!」
「結城くん。そいつ、結構鈍感だよ」
葵の言葉に驚いて、やっと手を止める。
「え!こんなあからさまなのに!」
「あからさまなのに。」
まだ感覚のある二の腕をさする。
「うっそー。じゃあ、ちゃんと言葉にしないと行けないってこと?」
「そうだね。」
「恥ずかしー。うう、頑張る。」
結城は何に対してなのかわからないが、恥ずかしがっていた。
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