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第46話※

   「う、痛い。動けない。」  翌日。  結城はベッドのシーツに包まったまま、動けないでいた。  「だから言ったのに。」  あれから、ベッドで2回、お風呂で1回、またベッドで1回した。  多分、結城は絶倫だ。  とはいえ、付き合ってしまった俺にも責任がある。  「お水、飲める?」  ペットボトルの水を持ってきたが、結城は起き上がれそうにない。  「うーー…。無理ぃ。」  お尻を庇うようにもぞもぞと動く。  「ちょっと待ってて。」  ペットボトルを開けて、自分の口に含む。  「ん。」  結城の頭を支えると口の中に水を垂らす。  「はい、ごっくん。」  言われた通りに結城は喉を動かした。  「飲めた?」  「うん。ありがと。」  結城はしばらく放心状態のようだった。しかし、しばらくすると頬が緩みニヤニヤしている。  「何?」  「んー?なんか幸せだなって。」  えへへと結城からはお花が飛んでくる。  「うん。俺も幸せ。」  ベッドの近くにしゃがみ込み、目線を合わせる。  目があった途端、さらに細まった目を見て、俺もつられて笑顔になる。  「でもごめん。委員会の仕事行かなきゃ。」  「え!!」  勢いよく結城は起き上がる。でも無意識の行動だったのか「痛てて、」と言いながらまた元の体制に戻る。  「今日くらい休んでもいいじゃん。」  「昨日、仕事押し付けちゃったから。」  「じゃあ俺も行く。」  「動けないでしょ。」  「うー、、」と口を尖らせ、そっぽを向く。  「いいんちょなんてやめればいいのに。」  「そんなこと言わないの。仕事終わらせてすぐ帰るから。」  「…ほんとに?」  やっと目を合わせてくれた。  「本当に。」  「わかった。」  尻尾と頭に耳が見えるくらいご機嫌だ。  そんな頭にキスをする。  「行ってきます。」

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