48 / 173

第47話

 「結城。」  昼ごはんを一緒に食べるために同じクラスである結城を呼ぶ。  「まって、今行く!」  慌てて板書を書き留めていく。  結城はちゃんと授業を受けるようになった。  「ごめん、待った?」  「ううん、大丈夫。行こっか。」  俺と結城が付き合っていることは周知の事実になっていた。   そりゃあ、途端に接触する回数が増えたら誰もが勘繰るだろう。だが、それだけではなく、結城は周りに見せつけるように腕を組んだり抱きついたり。  おそらく、自分の恋人だと威嚇させて、誰にも渡さないと言う独占欲だろう。とてもかわいい。  「圭太は何食べる?」  「うーん、唐揚げにしようかな。」  「じゃあおれも。」  そう言って唐揚げ定食を二つ頼んでくれた。  渡された料理をトレイで持って奥の方の席へ座る。  ここの席は、風紀とか生徒会とかが優先的に座れるようになっている。仕事の都合によっては早く食事を済ませる必要があるからだ。優先的なだけで、別に一般生徒も座れる。まあ見たことはないが。  コトンとトレイをピタッとくっつけて、結城は隣に座る。  「ねえ、今日の委員会は何時に終わるの?」  「会議があって、それから生徒会とも仕事があるから」  「じゃあ遅いの!?」  「そうなるね。」  「そっかぁ。」  唐揚げを一つ食べる。  「じゃあ今日は圭太の部屋に行けないね。」  「ん?んんん(なんで)?」  食べている唐揚げを飲み込んだ後に、ポケットを探る。  「はい。」  取り出したのは鍵だ。  「待ってればいいじゃん。」  「いいの?」  「いいよ?」  両手で鍵を受け取るとぎゅっと握りしめた。  「帰ってきた俺を癒してね。」  「うん。」  「ちゃんと外泊届出してね。」  「わかった。」  仕事が忙しかった後に結城と会えるのは俺も嬉しいし。  もう一つ唐揚げを齧ったが、疑問が浮かんで箸を止める。  「ていうかさ、一緒に住めば良くない?」  「え?」  結城の手から鍵が落ちてしまった。

ともだちにシェアしよう!