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第2話
「とりあえず着替えな。」
風紀室に連行した後、とりあえずびしょ濡れだったから、体操服に着替えてもらう。
俺も濡れていたから、体操服に着替える。
幸いパンツは無事だ。
ハンガーに濡れた制服を掛け、窓側に干しておく。これはもうクリーニング行きかな。
タオルで濡れた髪の毛を拭きながら、取調室に戻る。
「圭太、風呂上がりみたい」
「うっさい」
取調室に先に入っていた葵にからかわれる。
茶髪の少年は、暴れてはいないものの、今にでも飛びつきそうだった。
女の子のボブのような髪型に、クリクリとした目に、丸顔。正直、見た目が中身と不釣り合いだった。
「天野ルイだっけ?」
天野ルイは、この容姿から天野ルイに寄ってくる男がたくさんいたが、中指を立てるレベルで追っ払っていた。小悪魔のような子だ。
実は、入学当初から風紀が目をつけていた子でもある。入学当初から、小さいことだがよく問題を起こしていたからだ。
だが、軽いケンカや、校則違反程度で、今回のように大事になることは初めてだった。
天野ルイはただひたすらにこちらを睨んでいる。
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