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第8話

「終わった?」  別の部屋を借りて話をしていた葵が顔を出す。  「葵先輩!終わりました!」  俺が返答するよりも先にルイが返す。  「そう。お疲れ様。今回はどちらも怪我はしてないわけだしもう帰っていいよ。」  「ありがとうございます。」  ぺこっと葵にだけ向けてお辞儀をすると部屋を出て行った。  あいつ。俺には敬語も使わないのに。  「ルイくんいい子じゃん。」  「どこが?」  きっとそう思っているのは葵だけだと思う。  「これ授業間に合わないね。」  「そうだな、5限は公欠取るか。」  「圭太、終わった?」  ルイと入れ替わりで顔を出したのは結城だった。  「うん。終わった。ごめんね、一緒に食べれなくて。」  「ううん、いいの!これ購買で買ったお弁当!」  弁当を渡される。  弁当は丁寧にお茶付きだった。中身も俺が好きな具材ばかり。  「さっきでてった子、例の"最近の問題児"?」  「そうだよ。」  「でもそんな子には見えなかったよ。俺のこと怖いっぽいし。」  結城の発言に違和感を覚える。  「そうなの?」  「うん。隠すように可愛く喋ってるぽかったし…」  キーンコーンカーンコーン  話を遮るように予鈴がなる。  「あ、戻らなきゃ。バイバイ!」  「うん。また後で。」  扉を閉まる直前まで手を振って出て行った。  「ラブラブだね。」  「揉め事がなければ、もっとラブラブできたんだけどなぁ。」  嫌味ったらしく、ここにいない誰かさんに向かって返した。

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