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第20話

 「おつかれ様。」  「うん、おつかれ。」  風紀の仕事が終わって向かう場所は、寮ではなく図書室だった。  「お待たせ。」  夏休みの図書室には1人しかいなかった。  「…遅い。」  「ごめんって。」  後輩の座っている隣の席に座る。  机には数学のワークと教科書が開かれており勉強した形跡があるが、捗らず他の本を読んでいた形跡もあった。  「どこまで進んだ?」  「んー、ここが分からない。」  指を差した問題には書き込みがひとつもなかった。  「何が分からないの?」  「全部」  あーー…。  「教科書貸して。」  教科書をもらい、とあるページを探す。  「これ、この公式を使うの。」  4つ続けて書かれている太字を指さす。   「どれ使うの?」  「どれ使うと思う?」  聞き返せば素直に考え始める。   けどなかなか答えがわからないルイにヒントを出す。  「ほらこれ分数になっているだけでひっくり返せばさ、」  「あ!2の公式だ!」   「そ!」  それさえ分かれば1人ですらすらと解いていく。  「すごいじゃん。」  そういうと少し照れ臭くする。  「別に。」  「やっぱお前は可愛くないな。」

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