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第22話

  仕事に時間がかかり、ルイとの約束の時間を過ぎていた。  廊下をせかせかと歩きながら図書室に向かう。  図書室の扉の前で深呼吸をして少し息を整え、扉を開く。  「ごめん、遅れた。」  返事はなかった。  中に入っても人の気配はない。  夏なのに寒気を感じる。  嫌な予感がした。  さっきとは違い、全力で走り出す。  夏休みだから校舎に用事がない生徒は入れないはず。  じゃあ、他に入れる人は…。  1人心当たりがあった。  階段を飛ばし飛ばしで駆け降りる。  「ルイ!」  見つけた後ろ姿に声を投げかけた。

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