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第23話
図書室に入って、内側から鍵を閉める。
「あ、、手、痛い。」
息を整える呼吸だけが聞こえていた中、ルイがか細い声で言った。
「っごめん!」
手を離して見ると握っていた部分が赤く跡がついていた。
「ごめん、強く握りすぎた。」
「ううん、その、…ありがと。」
いきなり感触がなくなった手を居心地悪そうに動かす。
「知ってた?あの教師、生徒にレイプ未遂起こしたことあるの。」
俺の発言に体を震えさせ、小さく首を左右に振る。
「知らな、かった、」
「そ。未遂だから退職されてないけど、これまでたくさんの生徒が被害に遭ってるんだよね。ほんと…、忌々しい。」
ルイの頬に両手を添えると、夏なのに冷たかった。
「ね、わざとでしょ。」
両手で顔をこちらに向けて目を合わせる。
青い瞳が少し揺れた。
「色目つかってたでしょ、なんで?」
「う、あ…。かわいこぶれば、成績あげてくれるかなって、」
本当にこいつはかわいくない。
「見た目、きもいだけかなって。あいつ、そんなヤバいやつだって、知らなかった。」
友達がいないルイはそういう情報を知らないのか。
瞳はしゃべれば喋るほどうるうると揺れる。
「見た目で相手を判断しない方がいいよ。」
頬に添えていた手を腰と腕に回す。
引っ張って近くにある長机に押し倒した。
あんな目にあったばかりで傷の癒えていない彼がだが、痛い目を一度思い知らせないといけない。
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