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第24話

   「へっ、いいんちょ?」  下からか弱い声がする。  胸板を両手で押されるが小さい抵抗だった。  「あんなキモいやつを許したんなら、俺もいいよね?」  半袖ワイシャツのボタンに手をかけて、上から順番に外していく。  「あっ、や、許してなんかっ、」  「じゃあなんで色目使ったの?」  太ももの内側をするりと撫でる。  「んっ、やっ、」  ほら見ろ、抵抗できないくせに。  簡単に俺の腕の中に収まったルイを見下ろす。  「今更遅いよ」  ベルトに手をかけて外そうとすると、危機感を感じ取ったのかさらに抵抗は強くなる。  けど俺には大差なく、片手でルイの両手を握り縛れた。  「いや、や!」  こんなもんか。  目の前のルイの様子を見てそう思う。  最後に一発、おでこにデコピンを喰らわした。  「分かった?どういう目にあうか。」  うるうるしていた青い目はついに限界を迎え、大粒の涙をこぼした。  「うっ、うえぇぇ!」  「ごめんね。こうでもしないとわからないと思って。」  体を包み込んで、抱きしめる。  「違うぅ、ぼくがっ、ひっ、ごめんな、さいっ!」  子供のように声をあげて、しゃっくりをあげて泣く。  俺も子供をあやすように背中を叩く。  「ごめんなさっ、ごめん、ひっ、ごめ、なさっ」  「分かった分かった。もうぶりっ子すんな。悪い癖だから。これからは怖いことがあったらすぐに助けを呼べ。」  ルイが俺の前で泣いたのは初めてだった。

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