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第25話

ルイ視点  見慣れない寮の廊下。  端については方向を変え、端については方向を変えと、うろちょろしていた。  まだ、約束の時間にはなっていないからいいんだけど。  昨日のことがあって、今日からは委員長の部屋で勉強会を開かれることになった。  けど、僕はなかなかインターホンを押せずにいる。  昨日泣きすぎて目、腫れてない?  いやそれはさっき嫌になる程確認した。  寮だから私服で、それも無難だけどダサくないものを選んできた。  準備は万端だけど、心が、なんていうか。  あったらどういう顔をすればいいのかがわからなかった。    「あれ?ルイくん。」  人がいるのに気づかず驚く。  「葵、先輩。おつかれさまです。」  年上なのにそこまで身長は変わらず、顔は俺よりも幼い葵先輩がいた。  「どうしたの?圭太の部屋はあそこだよ。多分もう部屋にいるよ。」  葵先輩が指を刺したのは今いる場所とは真反対だ。  「あ、はい。場所は知ってます。」  「じゃあ、なんで?」  「なんでっていうか。」  自分でもわからずに言葉を詰まらせる。  「どう、すればいいかわかんなくて。」  そっかと葵先輩が頷く。  「圭太が怖い?」  その言葉に僕は首を左右に振る。  「ううん。昨日、怖いことされたけど、それよりも委員長に嫌われたって思ったら、それ以上に怖かった。」  「どうすればいいかわかんないって、気持ちのこと?」  「た、ぶん。」  「圭太のこと、怖くないならどう思ってる?」  「え、」  また自分でもわからない問いがきて言葉を詰まらせる。  「俺が入れるのはこれくらいかな。圭太と会って答えを探してきな。」  俺を委員長の部屋の前まで誘導すると、そのまま去っていった。

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