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第28話
その日から、勉強会に小野も加わった。
最初は人見知りを発動していたルイだが、趣味が小野も同じだということを知ると喋り出した。
躊躇いがちだった小野もルイに笑顔で話しかけていた。
勉強そっちのけになることが多いけど、それは些細なことだった。
「ルイくん、大丈夫そうだね。」
勉強会が終わった後、一緒にコップの洗い物をする結城が話しかけてくる。
「うん。勉強もそれ以外のこともやっていけそう。勉強会が終わっても。」
俺がいなくても。
「…ねね。」
洗い物が終わると結城が雑誌を持ってくる。
「海、行こうよ!」
雑誌の見開きにドドーンと映された海の絵。
学校からもそう遠くない地名が書かれている。
前々からお盆に旅行に行こうと話していた。
「いいね。最近2人っきりになれていないし。」
そういうと、結城はちがうちがうという。
「みんなで行くの!ルイくんの補習合格祝い!」
結城のなすがままに計画が進められていった。
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