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第34話

 旅行で元気の良い結城が早くから俺を起こしてきた。  昨日からずっとはしゃいでいて途中でバテてしまいそうで心配だ。  旅館で出てくる朝食を済ませ、干していた海パンに着替える。  敷居の高い旅館だから、なんとなく海パンのみで出ていくのは控え、上着を羽織って出た。  結城は俺にたくさんキスマークをつけられているため、常時、上も着ているが。  「圭太!いこ!」  今日のメインはサーフィンだった。  お遊び程度だが、俺と結城と先生が経験者で、経験のない3人もやってみたいと言ってくれたので二日目はみんなでやる予定だった。    のだけど。  「僕、やっぱいい。」  サーフボードを借りる海の家の前でルイがそう言う。  「そんなこと言わずにやろうよ」  そう言っても、小さく首を振った。  そのまま一人で来た道を戻って行ってしまう。  「あ、じゃあ俺もやめときます。」  小野があわてて手を挙げる。  「いいの?」  「はい。天野と別のことで遊んでいるんで」  「…そっか。」  ルイは旅行に行く前からサーフィンやってみたいと張り切っていたのに。  なんだか腑に落ちない。  「じゃあ俺もサーフィンやめよっか?二人だけだと心配だし。」  次に手を挙げたのは葵だった。  「あ!や!それは申し訳ないんで葵先輩はサーフィンやってください!」  「じゃあ、何かあったらすぐにこっち来てね。」  「はい。あ、えっと、」  小野はまだ何かあるのか俺たちの顔を順番に見る。  「葵先輩、あの…」  誰に話すのかを考えていたのだろう。結果的に葵になにか耳打ちをしている。  「あー、なるほどね、、教えてくれてありがとう。」  お礼を言うには相応しくない苦い顔を葵はする。  小野とルイとは昼食で一度合流する約束をしてわかれた。

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