139 / 173

ルイとデート 7

 「でも、恋人らしいことしたい、これじゃ、特別になれない。」  ルイは不安なんだろう。  俺たちの関係が普通じゃないから余計に。  あの時、恋人繋ぎをしてあげればよかったと今更思う。  「ルイ、もう一つやりたいものあるんだけど。」  ルイは頭を押し付けるのをやめて目線を合わせる。  「プリクラ、撮ろうよ。」  付き合っている高校生の定番だと思った。  「撮る!撮りたい!」  ルイはかなり食いついてきた。  さっそうと、荷物をまとめ、プリクラコーナーへ向かう。  女の子たちしかいない中、人気っぽいプリクラへ入る。  「これ、どうすればいいの?」  「え、僕もわかんない!」  お金を入れた途端、タイムリミットが次々と表示され、操作を急かされる。  『3.2.1...』  出来上がった写真は、不自然にまつげがついていて、目が大きくなっている。  ルイはそれでも違和感なく可愛く見えるから不思議だ。  目線の外れている俺の顔がなんとなく恥ずかしい。  それでも、ルイは満足そうにしていた。  俺はそっと財布にしまう。  「おかえり」  寮に帰って、部屋のインターホンを押すと、すぐに結城が出てきた。  結城は俺たちを見て、ニンマリと微笑む。  「楽しかった?」  結城の目線は俺でもなく、ルイでもない。  ルイと俺が持っているゲーセンの景品だった。  「楽しかった!」  ルイは結城に笑顔で答える。  「そ、良かったじゃん。」  ゲーセンの景品である、パーティサイズのお菓子たちは3人で分け合った。

ともだちにシェアしよう!