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ルイとデート 7
「でも、恋人らしいことしたい、これじゃ、特別になれない。」
ルイは不安なんだろう。
俺たちの関係が普通じゃないから余計に。
あの時、恋人繋ぎをしてあげればよかったと今更思う。
「ルイ、もう一つやりたいものあるんだけど。」
ルイは頭を押し付けるのをやめて目線を合わせる。
「プリクラ、撮ろうよ。」
付き合っている高校生の定番だと思った。
「撮る!撮りたい!」
ルイはかなり食いついてきた。
さっそうと、荷物をまとめ、プリクラコーナーへ向かう。
女の子たちしかいない中、人気っぽいプリクラへ入る。
「これ、どうすればいいの?」
「え、僕もわかんない!」
お金を入れた途端、タイムリミットが次々と表示され、操作を急かされる。
『3.2.1...』
出来上がった写真は、不自然にまつげがついていて、目が大きくなっている。
ルイはそれでも違和感なく可愛く見えるから不思議だ。
目線の外れている俺の顔がなんとなく恥ずかしい。
それでも、ルイは満足そうにしていた。
俺はそっと財布にしまう。
「おかえり」
寮に帰って、部屋のインターホンを押すと、すぐに結城が出てきた。
結城は俺たちを見て、ニンマリと微笑む。
「楽しかった?」
結城の目線は俺でもなく、ルイでもない。
ルイと俺が持っているゲーセンの景品だった。
「楽しかった!」
ルイは結城に笑顔で答える。
「そ、良かったじゃん。」
ゲーセンの景品である、パーティサイズのお菓子たちは3人で分け合った。
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