「え？」 　なんのことか分からず、そう言ってしまう。 　「"あの子"のことは何ていう？」 　「ルイ、のこと？」 　「それ！」 　今度は声を張りあげる。 　「なんでルイはルイなのに、俺は結城なの？」 　ほっぺを膨らませて明らかに拗ねていますという表情を見せる。 　「えっと、名前で呼んで欲しいの？」 　ゆっくりと頷く。 　前、その話題に上がった時、結城が自分の名前が女の子っぽくて嫌いって言っていたから、そのまま苗字で読んでいた。 　それに最初は、てっきり"ゆうき"と言う名前だと勘違いしていたのもある。 　「ルイルイ呼んでるの聞くのや。」 　やって駄々っ子かって、ちょっと笑ってしまう。 　最近、ルイの駄々が、結城にも伝染している気がする。 　「だから、」 　呼んで呼んでとばかりにこちらを見る。 　それだけのことで部屋に来たと思うと可愛くて、ちょっと悪戯がしたくなった。 　耳元に唇を寄せる。 　「りーん。」 　ひゃっと結城が跳ねる。 　顔を離すと、真っ赤な顔が目の前に現れた。