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ベッドを買おう 9

ルイ視点  目を覚ますと、真っ先に目があったのは結城先輩だった。  唇に人差し指を立てて、しーとこちらにやる。  「なに?」  「だから、」  寝起きもあって、少し苛立ちを含めて返すとまた、しーっとやられる。  素直に黙って、なんだと首を傾げると、真ん中にいる圭太を指差す。  結城先輩の方に向いている圭太の顔を覗くと、静かに寝息を立てていた。  「圭太の寝顔、レアじゃない?」  確かに。  一緒に寝ていても、ほとんど圭太が先に起きていることが多いし、先に起きても物音ですぐに目覚めている。  「昨日、疲れたのかな。」  「それは、先輩が絶倫すぎるだけ」  「よく圭太にも言われる」  2人で小声で話していると、圭太が寝返りを打つ。  それを嬉しそうに見ている結城先輩を見て、僕もまじまじと見てしまう。  「ねえ、」  結城先輩は、勝手に圭太のスマホを指を借りて、指紋認証を外し、カメラを起動させる。  ちゃんと音が鳴らないタイプのアプリだ。  「ルイもよってー」  寝ている圭太を真ん中にひっついて、パシャパシャと撮った。  「えへへ」  結城先輩は満足そうだ。  圭太は自分から写真を撮りたがるタイプではないから、これが初めて3人で撮った写真かもしれない。  「僕の携帯にも送っといて、」  「うん」  後日、その写真は圭太のホーム画面になっていた。

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