162 / 173
ベッドを買おう 9
ルイ視点
目を覚ますと、真っ先に目があったのは結城先輩だった。
唇に人差し指を立てて、しーとこちらにやる。
「なに?」
「だから、」
寝起きもあって、少し苛立ちを含めて返すとまた、しーっとやられる。
素直に黙って、なんだと首を傾げると、真ん中にいる圭太を指差す。
結城先輩の方に向いている圭太の顔を覗くと、静かに寝息を立てていた。
「圭太の寝顔、レアじゃない?」
確かに。
一緒に寝ていても、ほとんど圭太が先に起きていることが多いし、先に起きても物音ですぐに目覚めている。
「昨日、疲れたのかな。」
「それは、先輩が絶倫すぎるだけ」
「よく圭太にも言われる」
2人で小声で話していると、圭太が寝返りを打つ。
それを嬉しそうに見ている結城先輩を見て、僕もまじまじと見てしまう。
「ねえ、」
結城先輩は、勝手に圭太のスマホを指を借りて、指紋認証を外し、カメラを起動させる。
ちゃんと音が鳴らないタイプのアプリだ。
「ルイもよってー」
寝ている圭太を真ん中にひっついて、パシャパシャと撮った。
「えへへ」
結城先輩は満足そうだ。
圭太は自分から写真を撮りたがるタイプではないから、これが初めて3人で撮った写真かもしれない。
「僕の携帯にも送っといて、」
「うん」
後日、その写真は圭太のホーム画面になっていた。
ともだちにシェアしよう!