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第3話
「異論があるなら自分で決めろ。」
ピシャッと言われて何も言えなくなる。
俺の反応を見て、
「これで決定だな」
そう言って部屋を出て行ってしまった。
「本当にこれでいいですか?」
副会長が全体に言いつつ、こちらを見やる。
「…ああ、いいよ。」
副会長には何もないが、少し苛立った口調で返してしまった。
「…では、これで会議を終えます」
その言葉に続々と役員が席を立つ。
「ごめん、先生のところ行ってくる」
「分かった。」
隣の葵に一言残し、先生がいるであろう生徒指導室へ向かう。
廊下ですれ違う人が道を開けてくれる。それほど、形相が悪かったのだろう。
早歩きをして、生徒指導室の前へ着く。
コンコンコン
ノックを3回。少し乱暴に叩く。
2回はトイレのノックだと散々親に躾けられて、今ではトイレでも3回叩くようになった癖。
「はーい。」
間抜けな返事を聞いてから扉を開ける。
ソファに寝そべってノートパソコンを操作している先生の姿があった。
「失礼します。」
「あー、お前か。」
金沢先生はこちらを見向きもしないで言う。
「あの、「断る」
用件を言うことも許されないらしい。
まだこちらを見ないのがその証拠だ。
数秒、数分、冷戦が続く。
先生のキーボードを叩く音だけが鳴り響く。
「はぁ、」
沈黙を破ったのは俺で、ローテーブルを挟んだ向かいにあるソファに座る。
「せめて、理由を教えてくださいよ。」
そう言うと、力強くエンターキーを押す音が聞こえた後、パソコンを閉じてくれた。
「そんなに姫が嫌か。」
「嫌に決まってるでしょ」
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