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第5話
結城サイド
「圭太、女装するんだって」
圭太の仕事が終わらず、部屋ではルイと2人でくつろいでいた。
「え、意外!」
ルイは少し大きな声をだす。
「え、何で?」
ルイは興味津々らしい。
「あれ、生徒会との劇で、」
「へー!じゃあベルだ。」
2人して顎に手を乗せ、女装姿を想像する。
「美人って感じになりそう、」
「黒髪ロングとか似合いそー」
2人で楽しみだね、と言い合う。
「あ、でも、」
「?」
「野獣役が生徒会長なんだよねー。」
「へー…」
「へーって、ルイ、会長と圭太の事知らないの?」
「え、なに?」
ほんとうにキョトンとした顔をしている。
その表情は、俺でも可愛いと思う。
学校の噂に尊いルイのことだ。知らないのだろう。
「圭太、会長と仲悪いんだよ、ものすっごくね」
「そーなんだ。確かに2人でいるところ見たことない。」
「去年は同じクラスでね、ほんと火花チリチリみたいな。」
「圭太が?珍し」
確かに、会長以外にこんな関係の人はいないかもしれない。誰にでも当たり障りなく接するし、闘争心を燃やすタイプでもない。
「何がきっかけでそうなったの?」
「何がって、訳ではないんだよね。気づいたらそうなってた。自然と。去年の今頃も凄かったよー」
そう言って、まだ知り合う前の圭太を思い出す。
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