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第6話

結城サイド  一年前。  同じクラス。  会長は生徒会の書記をやっていて、圭太は風紀の平委員。  だからそれと言って接点はなかったはずだ。  それでも、2人は仲が悪かった。  去年の学園祭は特に。 「俺は同じクラスじゃなかったから、人伝に聞いたんだけど、体育祭でどっちが何に出るか揉めたらしくて。」  「圭太、そんな熱入れるタイプ?」  「入れないけど、堪忍袋の尾が切れたら本気だすからね。多分何かあったんでしょ。」  「あー。」  心当たりがあるのか、ルイは苦い顔をする。  「それで、2人とも200メートルに出ることになってさ。名物競技でもないのにすごい注目されて。」  「それ、どっちが勝ったの?」  「どうだったっけ?忘れた。」  ちゃんと参加してないからな。  今年は参加しないと圭太に怒られそう。  「あーあ。俺が王子様になってあげるのに」  「僕がなる!」  「ルイは王子って柄じゃないじゃん。」

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