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報告
隣人の友人男性ハルト。
それだけの情報しか知らないにも関わらず、発情期に自宅の玄関先で助けられ、発情期の相手もして貰った。
しかもノリに乗ってしまい、自分から
ゴムは要らない!中出しして!孕ませて!
なんぞと今までついぞ言ったことも無いのに、そんな事まで言い放ち、淫らに求めてしまった。
性欲うっすいんじゃなかったのか俺!
覚えてないなら、相手を責められようものだが、生憎全て自分からの言動と行動を覚えており、後悔先に立たずの心境である。
幸いなのは、項は噛まれておらず、まだ番の契約までは至っていなかった。
オメガとアルファの発情期の妊娠率は非常に高い。
いつも三日で終わる発情期が、一週間と長引き、更にはアフターピルを飲むタイミングを逃し、なんとなくわかっていたような今回の妊娠。
本当にハルトという人物には、申し訳ない気持ちしかなかった。
発情期が終わり改めて話を聞くと、会社の取引先で軽く繋がっている事が判明した。
そこで俺の名前と顔を見知っていたという。
ハルト…北條 悠斗 というらしい。
25歳と俺より若い悠斗 くんの名刺にはホクトグループという有名企業の第一企画部とあった。
確かに俺はこのホクトグループの第二企画部の営業担当で、何度か企画部へと足を運んでいる。
第二の部長と懇談する時に、第一企画部の人とも接触していたのかもしれない。
とりあえず連絡先を交換し、さあもう別れようと腰を上げた時、
「実は一目惚れなんです。織田さん。」
と悠斗 くんから告げられた。
かぁぁぁぁぁぁ……。
胸がきゅんと締め付けられる感覚。
首から上に熱が集中する。
オメガとは言うものの、儚い容姿をしているわけでなく、至って普通の俺。
何処に一目惚れ要素が?と疑った。
実用的な何も飾らない首輪も相まって、友人からも全然性欲そそられねーなと言われる始末。
悪かったな。
会社で俺を見初めてくれた後、偶然にも友人宅の隣人が俺で。
まさかの発情期初日に出逢うとは……。
悠斗 くんも相当に驚いたらしい。
俺としては、あんまり結婚とか番とか縁遠い事だと思ってたから、この劇的な発情期はあまりにも青天の霹靂である。
その後も悠斗 くんは、週に一回は俺の家へ顔を出してくれた。
あまり自分を語らない穏やかな青年は、俺の目にも好青年であった。
あの発情期に置いて、ラット化することもなく、落ち着き払った精神力で、俺を優しく激しく、感じるままに抱いてくれた事が、本当に嬉しかった。
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