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番の印をつけるまで(8)
※
あちこちにキスを落とされて。
行き着いたのは俺の後孔。
臍の下辺りがキュンと痛みを伴う疼きを感じる。
熱くて湿った悠斗 くんの舌が、普段は固く閉じている窄 まりを少しずつ穿っていく。
自分の目では見られないその光景が、頭の中で映像化されてゆく。
太く固い男の指が、舌で濡らしたその後孔に静かに入り込む。
ヌルッとした感触が股を流れた気がした。
オメガの愛液なのだろう。
熱く漏れ出た液体は脚を伝い流れる程に、空気に触れてひんやり冷たくなってゆく。
その感触に気を取られていたら、悠斗 くんの指が忙しなく抜き差しされて、中の襞 をこすり。
ぐりんと一周中を掻き回される。
「あんっ……!」
俺だって知ってる。
前立腺に当たった。
ある一点、触れるとビリビリと刺激がくる。
でも自慰で擦 るのとは全く違って、駆け上がる快感がものすごい!
自分の指では届かないそこは、いつも愛用のディルドを使い快感を追う場所。
一本では、やり尽くしたのか、静かに二本目の指が容赦なく抉ってくる。
「ああんっ……はあんっ……はあっ!ううんっ!」
グチグチと音を立てて掻き回され、耳も犯される。
二本の指でも前立腺を刺激され、表現のしようがない感覚に追い立てられると、後孔がキュンキュンと勝手にチカラが入り、小刻みに震えがきた。
「いやっ……!……はっああああぁん!」
昂ってるはずのモノからは、先走り程度しか出ていない。
いわゆるドライオーガズムというヤツ。
後頭部付近が中から痺れてる。
何も考えられない。
腰が勝手にゆさゆさ揺れる。
俺の手が自分のモノに延びて、ゆるゆると扱き出す。気持ちいい。
悠斗 くんの指は、この時三本に増え、優しくも激しく内襞を擦り上げていた。
よく見ると、悠斗 くんの大きなモノも逞しく反り返りヌラヌラと先端から液体が溢れていた。
身体を入れ替えて、悠斗 くんが寝転ぶ形となる。
おずおずと手を延ばすと、今度は手首を掴まれて、逆にそこまで導いてくれた。
やっと触る許可がおりたのか。
カチカチに張り詰めたそれに触れると、裏筋に血管が浮き出ており、ドクドクと更に大きく太くなる。
自分のと比べ、やたらと逞しく形も色も違うそれは、少し恐ろしくもある。
「優一さん、舐めて。」
そう囁かれ……。
戸惑いながらクチを寄せた。
歯を立てないように先を咥え、一気に喉の奥までクチを窄めながら入れてゆく。
その状態で何度かきつく抜き差しし、上目遣いに悠斗 くんを見上げたら、額を鷲掴みにされて、頭を無理矢理剥がされた。
「くっ!……無理っ!」
と悔しそうに呟いて、俺の身体をペタンとひっくり返した。
ベッドサイドに置いてある大きな箱から、中身を取り出し、悠斗 くんは素早くゴムをつけた。
今度は片膝を高々と掴み上げ、後孔に悠斗 くんのモノをあてがうと、少し入っては抜き、更にもう少し入っては抜きと、ジワジワと俺に侵食してきた。
余りにも大きすぎて、途中……絶対無理!と思ったものの。何とか入り切り、暫し悠斗 くんが独りで浸っていた。
それからだんだんと凄い速いスピードで抜き差しを始める。
グチグチ。
ニチニチ。
卑猥な音が響く。
固く閉じている瞼を、悠斗 くんが優しくキスしてくれる。
薄く目を開けたら、悠斗 くんと目が合う。
「あっ……やば。」
って声が聞こえ。
「ねぇ。噛んでいい?っ!」
って切羽詰まった声が聞こえた。
「うん!噛んでっ!くびっ。」
そう答えたのが先だったのか後だったのか。
瞬間、悠斗 くんのモノが引き抜かれて、ぐりんと身体をうつ伏せにされたかと思うと腰を掴まれ再び悠斗 くんが入り込んできた。
激しい抽挿が始まる。
「あぁぁぁぁ!おれっ……もう!」
「大丈夫ですよ。気持ちよくなって!」
軽く尻を叩く悠斗 くん。
再度の挿入の快感で、意表を突かれた身体は堪らず白濁を放ってしまった。
快感の余韻には浸らせて貰えず、ガクガクと壊れた人形みたいに揺り動かされ、揺さぶられていると、悠斗 くんの付け根がググッと大きくなったようで、これが所謂 アルファのノットというヤツらしく。
オメガの子宮に放たないと抜けないようになっている。
うつ伏せにされてるから悠斗 くんが見えないのだけど、気持ちよさげな喘ぎ声が小刻みに聞こえているから、気持ちいいんだろう。
「くっっっっっ!」
そんな歯を食いしばるような呻きと同時に、これでもかという程に項に歯の当たるゴリッという感触。
お腹にはゴムごしとはいえ、ドクドクと熱いものが溢れる感覚。
長い長いアルファの吐精。
最奥に流し込もうとする本能なのか、吐精中も腰を振って強く穿ってくる。
コンドームをつけてるとはいえ、溢れそうだ。
頭の先から爪先まで、何かがビリビリと駆け抜けてゆき、身体の組織が細胞レベルで作り変えられるような、そんな気持ちになった。
辺りは夜の闇に包まれていた。
俺達は遂に、番 となった。
ほんわりと香る相手の匂いに、胸の奥がきゅーっと痛くなる。
俺の性欲はここ迄で一通りとりあえず落ち着いたものの。
ええ?!
落ち着くなんて何の話?
興奮しまくりだよ?
まだまだやるよ?
なんならこれからだよ?
って。
悠斗 くん。
性格がガラッと変わっちゃった!
とりあえずシーツ交換をして、ゴム交換したかと思ったら、それからまだまだ続いた。
最初の前戯がやたら長かったが、次からはなんか知らないけど、悠斗 くん、可愛い可愛いって唸りながら何回もイキまくり。
最初のを知らないなら早漏なのか?って思うレベル。
ゴム変えてはまた突っ込んで…またゴム変えて。なんかヒートしまくりだよ。
いや。
俺もそりゃ求められて、しっかり乱れましたよ、うん。
ベッドサイドのゴミ箱に固く縛った使用済みコンドーさんがぽいぽい投げ込まれ。軽く山を築く。
あ……あ。
よく見ると。
ベッドサイドのあの大きなお徳用サイズのコンドームの箱。
業務用って印字してある!
業務用ってなんだよ!
業務用……。
恐るべし。
もしかして全部使う勢いなのか。
そうなのか?!
一日24時間しかないんだぜ!
その前に枯れ果てるぞ。
付き合いきれねー。
俺は知らなかった。
ベッド下に同じ箱がもう一箱予備として置いてあることを。
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