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牽制

「僕は甘く無いのが好き」  だから園田に食べられても惜しくは無い。 「そんなにカズがいいのかよ」  カズ。桃香一臣は僕の従兄弟で僕のいるB寮の寮長。喋らなくなってしまった一臣を支えて、他人との橋渡しをしているのも僕。だけど、一臣はその分他の寮長会の仕事までこなし、全校集会での資料はもちろん、質疑応答に関する詳細な受け答えを原稿として出してくれている。  僕の副寮長としてのあいさつ文まで。  一臣がいれば『寮長会』は不必要なくらいに仕事をこなしてくれている。  だから、B寮の寮長会のメンバーは一臣が喋らなくても仕事はスムーズに進むのだ。 「一臣は君と違って紳士だからね」  卵焼きを指でつまんで食べたりはしない。  性関係にだらしの無い園田。来るものは拒まず、去るものも追わない。 「あいつ、童貞か?」 「どうかな」  わざと煽るように答えた。真実は黒に近いほうが有利だ。僕が白では困るのだ。 「相手はお前?」  一臣と常に一緒にいる。そして、一臣は喋る時に僕に必要以上に近づく。まるで恋人同士のように。  初めの頃は僕も注意した。だけど、一臣も僕も……もてる。だから特定の人物、限りなく怪しい間柄に見せていた方が敵は少なくて済むのだ。  いくら初等部から一緒の園田でもそれははっきりさせない。 「ま、俺には関係ないか」  園田は急に立ち上がると、「次の副寮長選楽しみにしてろよ」と口端をあげて笑うと去っていった。  僕はほっと息をついた。  昼休みのこの時間に園田が時々ここにいることは知っていた。

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