22 / 139

『崩れる均衡』

「奥まで犯してやろうか? 欲しいんだろ?」  意地悪く笑って顔を覗き込まれる。中に指を入れられたまま反対の手が、放っておかれた乳首を摘んだ。 「やぁつ……ああっ」 「いいな、お前の声……言ってみ。俺が欲しいって」  指を入れたまま乳首から手を離して、その手が頬を撫でた。大きなその手が、頬を優しく撫でるから、勘違いしそうになる。  胸がキュッと締め付けられる。 「ここに」  グチュンと音を立てて更に奥まで指が入り込んできた。身体を仰け反らせると手が滑って足から離れた。  その手を頬を撫でる園田の手に重ねた。  一度ギュッと目を閉じると、「入れて」と言った。  反対の手も足から離して、さっき舐めた園田のものを掴んだ。それを緩く上下に擦ると園田の眉間に皺が寄った。 「たまんねぇ」  その声が掠れていた。指を引き抜くと同時に熱い物が押し当てられて、こじ開ける様に入ってきた。 「うっああ……」  痛みは感じなかった。十分ほぐされていたからだろうか。何度か前後に擦りながら奥まで入ってくる。  縋るように掴んだ園田の腕に力がこもる。  腰の下に枕があるせいで上から圧し掛かるようにして入れられて、その結合部までが見える。腰が合わさって、奥まで入り込むと、園田が息を付いた。 「きっつ……力抜けよ」  言われてもどうやって抜けばいいのか分からない。初めて広げられたそこに感じるのは熱と違和感だけ。痛みは感じなくても緊張している身体には力がこもる。

ともだちにシェアしよう!