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『崩れる均衡』

 どうして欲しい?とその意地悪な顔は促している。 「もっと……奥……」  戸惑って、恥ずかしさに躊躇して、それでも快感には忠実で……。  腕を掴んでいた手を園田の首に回して引き寄せる。一瞬惑ったように園田が抵抗したけど、それを引き寄せて、耳元に口を付ける。 「グチュグチュにして」  囁きは聞こえたのだろう。 「覚悟しとけよ」  その言葉に頷いた。騙されてくれればいい。今夜だけの、一度きりの相手でいい。  もうないのだ。  乱れて、自分が分からなくなっても、これきりだ。  初めてを抱いてもらえたのだから。  僕だけが幸せに浸れればそれでいい。 「ああっ……やっ……もっと」  腰の動きが早くなって快感に流されていく。  園田の荒い息が耳を擽る。首に回した腕に力がこもる。  中をかき回すように動きながら前後に動かされるとたまらずに声は上がる。中のどこを擦られても感じる。 「だめっ……イクッ……あっ…」 「もう……ちょっと……待て」  掠れて熱い声が園田も限界が近いことを物語っていて、益々煽られた。 「……つ、もう、イク……ああっあ……イチャ……」 「中、出すぞ」 「いいよっ……ああっ……あ、んっ」  園田の熱いものを身体の奥で感じると同時に、それにつられるように熱いものを放った。  荒い息を継ぎながら、ぼんやりと天井を見上げた。  園田の荒い息を耳に感じて、身体の上に感じる園田の重みに涙が溢れそうになった。  強く、抱き締めたいと願う。抱き締められたいとも。胸は強く締め付けられる。首に回していた手、それを強く握り締めた。

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