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『崩れる均衡』
それでも身体はいうことをきいてくれない。離したくないと……まだ中に残っている園田を締め付ける。
「そんなに飢えてんの?」
少し、さっきよりも優しい声。
その声に頷きそうになる。もっとと、欲張りそうになる。
「離して。重いよ」
心とは別の言葉が出る。
「何だよ。つれないな」
「いつまで乗ってんるんだよ。そんなに僕は良かったの?」
身じろぐと園田は身体を起こした、と同時に中から園田が引き出された。
「良かったねぇ。極上だ。相手に不自由しねえよな。そんな身体じゃ」
極上……。
その言葉に頬が緩んだ。好きな相手に言われて嬉しくないはずがない。
「そうでしょう?」
上にいる園田を見上げると顔を顰めている。
「どいて。僕は出かけるから」
押し退けるようにしてベッドから降りると足元にあったバスローブを掴んでバスルームに駆け込んだ。
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