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『偽りの創造』

「なんだよ。女? 男?」  相良が食いついてしまった。聞きたくないという思いと、園田のその相手がどんな人なのか気になった。  一臣も「どっちかな」なんて呟く。 「女だよ」 「そこのN女大だよな」 「なんだ、女かよ」 「な、何だよ。女でもいいよなぁ~」  5人は盛り上がって喋っている。だけど、僕だけ、話についていけ無い。  男同士ではありえない感情。僕の淡いモヤモヤとした気持ちが、今、はっきりとした。園田の相手が女だと聞いて、胸が押しつぶされそうだった。園田を追いかける気持ちは、園田といる時間が心地よいと感じる気持ちは……僕が園田を……好きだったからだ。  園田はその時のことを話し出した。みんな食い入るようにその話を聞いている。感触や感覚、感想を……。その話を聞きながら胸がムカムカしてきた。うっすらと吐き気さえ覚えるほど。  一足早い園田の体験談にみんな盛り上がっている。 「アズ?」  園田がいつの間にか僕を見つめていた。 「え? 何?」  急に呼ばれてはっと顔を上げると皆が見ていた。 「アズはこんな話苦手だったよな」  と……。馬鹿にしたような、嘲笑うような意地悪な顔で僕を見ていた。 「そんなことないよ」  意地悪な顔を跳ね除けるように言い返した。 「へぇ~じゃあアズはどんな相手がいいんだよ」  ………今の僕にそんなこと聞かないでよ。何でお前がそんなこと聞くんだよ。 「僕は……そうだなぁ。年上がいいかな。甘やかしてくれそうな人がいい」

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