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『偽りの創造』
変な噂が付きまとい、声を掛けられる。上級生からは襲われそうになるし……。
一臣は益々べったりだし……。
園田の浮いた噂は留まる事はなく、元々の男らしい顔立ちが、子どもらしさはすっかり抜けて精悍になり格好良くなった。背も高くガッチリとした男らしい身体つきに変貌した。
一臣も背は伸びたが、園田とは違い、大人しい落ち着いた雰囲気を身に付け、ミステリアスな魅力が増した。相変わらず喋りはしないけど、そのことが余計に周りの興味を引いた。
僕も背は伸びた……けど、変わっていない。
それぞれが変わって、『アズ』、『テツ』と呼び合わなくなり、寮同士の対立が激化すると僕たちの溝も大きく開いて行った。
『繰り返す過ち』
あまり眠れずにあくびをしながら部屋を出ると、リビングのソファーに寮長会のメンバーは揃っていた。
「……おはよう」
笑って空いている一臣の隣に座った。一臣は相変わらず僕の後ろに回って顎を乗せるようにしている。
「一臣、ネクタイして」
相良と2年の春(しゅん)と末長(すえなが)が来週の副寮長戦について話し合いをしていた。成績順できまる選出の順番。一臣がいくらトップの成績をキープしているとはいえ、寮の競い合いは寮生全員の成績の順位で決まる。
来週に迫った実力テスト。その各学年の成績を上げるべく、テスト勉強の対策について話し合っているのだ。
背中から手を回してネクタイを結んでくれた一臣はその書類の一つに手を伸ばして、赤ペンで印をつけていく。
それを受け取った相良が纏めて、末長が持参したノートパソコンでその場で原稿を作った。
「今日の放課後から5階の談話室で始めるから、朝食後には放送を、春。やっておけ」
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